美容室の設計において、照明計画というものは非常に重要な項目です。
明るさ、色温度 と一言では済まされず、
カットする際に施術者から見えるお客様の頭部・手元はもちろん、襟足が影にならないか、お客様のミラー越しに映る顔色はどうか、、、
またこれも全てのサロンが同一の考え方となる訳ではなく、お店のコンセプトや得意とされるスタイルによってご要望は様々です。
デザインのトレンドと同様に、求められる照明も変化しています。
10年ほど前は、スケルトン天井にダクトレール・スポットライト・3000Kの暖色系が多かった印象ですね。(もちろん今もやってますが!)
ここしばらくは、やはり4000Kの白色・明るめ・なるべく影が少ないように、とのご要望が多いと感じています。
カラーの傾向から始まり、施術以外にも、サロンが動画配信の場として使われることがより多くなってきていることも大きく起因しているかと思われます。
そんな必要不可欠な基礎照明ですが、デザインの見せ場とも言える美容室のメインフロアですので、意匠にも大きく影響します。
そんな実例をいくつか…。
こちらの大型サロンは異形のテナントで中心軸の取りにくいレイアウトであったため、
ライン照明を斜め45°に振って配列することで
様々な向きのレイアウトに均一に展開する照明となりました
ランダムに吊り下げられたライン照明がセットスペースの主役となる遊び心ある計画です。
適当なようでちゃんと計算されてます。天伏図が3レイヤーで構成されています。
二度と作図したくないです。
本当はスケルトンにしたかった、できなかった時にご提案しましたスケルトン照明です。
T5管のランプと露出したトランス、配線は碍子(がいし)で取り回しています。
電気屋さんは二度とやりたくなさそうな顔をしてました。
こちらもまたライン照明ですが、グリッド状の配列が珍しく ミラーへの写り込みで広がる姿も新鮮です。
例えばタイル、天然木、特注什器といった装飾などは、取り入れるか取り入れないか 0か100かで予算の検討対象となることが多いのですが
個人的には、基礎照明の工夫から生まれるデザインは 当然かかるべき予算に、プラスαで取り入れられるご提案と捉えています。
なんだかお得な感じがしますね。
TOUGH design product